- 著者
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大田 住吉
佐々木 公之
- 雑誌
- 経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 = Journal of Business Administration and Information (ISSN:13402617)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.1・2, pp.19-42, 2018-02
バランス・スコアカード(Balanced Scorecard、以下「BSC」)は、1990 年代に米国で提唱された経営戦略策定ツールであり、現在、多くの企業・団体等で導入されている。しかし、技術開発型企業(とくに、中小・ベンチャー企業)のように、知的財産(以下、「知財」)を企業経営の中核に据える企業にとって、その生命線である知財をBSC の中にどう位置付けるかについては、これまで明確にされなかった。本研究では、技術開発型企業がBSC を策定する際、従来のBSC の4 つの視点に加え、新たに第5の視点として「知財の視点」を加える手法を提案した。技術開発型企業にとって、新たな「視点」を加えるメリットは何か、「知財の視点」を加味する場合としない場合で何が違うのか等について明らかにし、さらに実企業2 社の事例研究により、その有効性について検証した。その結果、技術開発型企業が本研究の提案手法による新しいBSC を活用することによって、①大企業等と実際にビジネス展開する際の戦略ポイント、②自社技術シーズと標的市場ニーズの関係性と強度、③保有知財のうち、権利化を目指すものと社内ノウハウにとどめるものの優先順位の見極め等において、いずれも有効性を示すことが明らかになった。